農家出身でもなく。農学部を出たわけでもなく。子供の頃からの夢であるわけでもなく。米農家になって15年。そもそもなんで農業をはじめたのか?
それは、正直言うと「なんとなく」です。その時にできること、楽しいと思えること、わくわくすることを流されるままにやっていたらいつの間にか農家になっていたという感じです。
そもそも明確な夢とかビジョンとかをはじめから持っている人って、なかなかいないですよね。そんなもんはやりながら、動きながら形が見えてくることが多いかと。目の前のことを一生懸命やっていると、その楽しさが分かり、夢や目標になっていく。そんなもんそんなもん。
とはいえ、きっかけはあります。中小企業診断士の勉強をしているとき。兄が日本料理屋をやっていて、「これからどんなお店にしたらいいかね?」なんて話をしてたんです。その中で「自分の店で使う野菜とかを作る専用農場があったら面白くね?」「いいねぇー!」ということになり、「それじゃぁ、親戚の畑があるから、種まいてみるわぁー」というノリですべてが始まりました。
やってみるとまぁ、これが面白い!まったく何もないところから野菜がとれるんです。なので、「よっしゃ、農家になろう!」と思い動き始めました。
しかし、いろんな人に相談しても
「農家じゃないのにできるわけないよぉ~」
「農業やったことないんでしょ?そんな簡単じゃないよ。」
と、8割の人は反対でしたね。でも、その8割の人は「農業をやったことない人」でした。
「やったことないのに、できるわけないって・・・・まぁ、農家さんたちも人間なんだから。同じ人間!なんとかなるだろ!」
と、これまた気軽な気持で新規就農。どこかの農業法人で修行したり、農業大学校行ったりなどとはまったく考えなかったですね。「習うより慣れろ」の精神で、いきなり茄子を150本栽培しはじめました。茄子にした理由も農業を調べる過程で知り合った面白いおじさんが茄子を栽培していたからです。
最初の年の農業所得は記念すべき5万円でした!中小企業診断士の資格もそのころには合格していましたが、仕事なんてあるわけもなく。結婚はしていたので、嫁さんに食べさせてもらってました。どうしてもお金がないときは派遣で工場に出稼ぎに行きました。
今は農家になって15年。それなりにそれなりの経験をして。それなりの生活を送っています。いろいろ悩み、前向きになったり、後ろ向きになったりを繰り返しながら。
なんの夢も理想もなく、なんとなく始まった農家としての生活ですが、とても充実しています。少なくとも「農家になって良かった!」と心の底から思っております。
以上